京都・東山。八坂神社と高台寺の間、産寧坂伝統的建造物群保存地区の静かな路地に佇む、築約120年の「東山茶寮」。遠州流の茶人・数寄者が文化人を招き、茶会を催した私邸を、現代のラグジュアリーな滞在へと翻訳した、一日一組限定のヘリテージヴィラです。
石畳の街から
露地の静寂へ
東山露地 Kazeno Heritageが位置するのは、八坂神社、高台寺、法観寺、清水寺など、京都を代表する寺社が集まる東山。石畳と伝統的な町家が連なり、長い年月をかけて育まれた京都の美しい原風景が残る場所です。
寺社へと続く参詣路には、古くから茶店や料理屋、工芸品を扱う店が軒を連ね、旅人や文化人を迎えてきました。格子戸、石垣、土壁、軒先に揺れる暖簾。華やかな名所のすぐ傍らに、京都の人々が大切に受け継いできた静かな暮らしがあります。
賑わう街並みから細い路地へ入り、露地門をくぐると、空気は静かに変わります。飛び石を伝い、木々の間を進むひとときは、外の世界から私的な茶の湯の空間へと心を移すための時間。東山の中心にありながら、深い静寂へと身を隠すような滞在が始まります。
数寄者・鵜野吾一が築いた
「東山茶寮」
東山露地の前身は、明治後期の1904年頃、遠州流の茶人・鵜野吾一が茶会のための私邸として建てたと伝わる「東山茶寮」です。鵜野吾一は、かつて大阪一とも称された割烹料理屋「堺卯楼」の主人であり、茶の湯をはじめ、建築や庭、料理、工芸に深い造詣を持つ数寄者でもありました。
数寄者とは、単に茶を嗜む人ではなく、建築、庭園、器、花、料理などを一つの世界として捉え、自らの美意識によって空間と時間をつくり上げる人。鵜野はこの邸宅に茶人や京都の文化人たちを招き、茶会を通して交流を重ねたと伝えられています。
客を迎える四畳半の茶室や露地庭、和の居間と洋風の待合。建物全体が、茶会という一日のために美しく整えられていました。東山露地は、単なる別荘ではなく、京都と大阪の文化人たちが集い、新たな縁と文化を育んだ私的な文化サロンでもあったのです。

閑寂と華やぎが同居する
「綺麗さび」の美学

東山露地の空間を貫くのは、遠州流が重んじる「綺麗さび」の美意識です。
簡素さや静けさを大切にしながら、そこに洗練された色彩や、品格ある華やぎを添える。華美に飾り立てるのではなく、素材、意匠、器、光の一つひとつを選び抜き、緊張感のある美しい調和を生み出す思想です。
庭や茶室に宿る凛とした静寂と、洋風の空間や優美な調度がもたらす華やかさ。一見相反する二つの感性が共存することで、空間には奥行きと艶やかさが生まれています。
静かでありながら、決して質素ではない。端正でありながら、どこか遊び心を感じさせる。数寄者が追い求めた美学に包まれながら過ごすこと自体が、東山露地ならではの文化体験です。
数寄者の手仕事
東山露地を形作るのは、築約120年の建物に刻まれた素材の温もりと、客人を迎えるために凝らされた繊細な意匠です。茶室、居間、洋風待合、庭園。それぞれが独立するのではなく、歩みを進めるたびに異なる表情を見せる、一つの物語として設えられています。

茶の湯の精神を映す、四畳半の茶室
一階に遺された四畳半の茶室は、かつて茶人や文化人たちが一服の茶を囲んだ場所です。限られた空間の中に、床の間、炉、畳、建具が端正に整えられ、客と亭主が静かに向き合うための緊密な世界がつくられています。
余計なものを削ぎ落とした空間に身を置くことで、湯の沸く音や茶の香り、器の手触りが鮮明に立ち現れる。茶の湯が大切にしてきた「一期一会」の精神を、建物そのものから感じることができます。

時代の感性を伝える、和洋折衷の空間
当時の上流階級は、伝統的な和の文化を大切にしながら、新たに流入した西洋の様式も積極的に取り入れていました。東山露地に遺された洋風の待合や二階の居間も、その時代の感性を伝えるものです。
畳や木の温もりと、椅子やテーブルを中心とした洋の暮らし。静かな茶室から華やかな居間へと移ることで、一つの邸宅の中に、明治から大正へと移り変わった日本文化の重なりを感じることができます。

四季を絵画のように切り取る、庭と窓
邸宅の随所に設けられた窓は、庭の景色を美しく切り取る額縁。
春には桜、夏には緑、秋には一面の紅葉。冬には枝の輪郭や苔の深い色が際立ち、同じ空間が季節ごとに異なる表情を見せます。
庭を鑑賞するために室内があり、室内の静けさを深めるために庭がある。建築と自然が互いを引き立て合う、日本の住まいならではの豊かな時間をお愉しみください。

茶会のための私邸から
一棟貸切のヴィラへ
露地門の先に身を置き、庭の葉音に耳を澄ませる。かつての数寄者たちが愛した光や風、季節の気配を、自らの感覚で受け取る時間。
四畳半の茶室で心を整え、窓一面の桜や紅葉を眺める。仕出し料理を囲み、芸舞妓の舞に触れ、夜には静まり返った邸宅で銘酒を味わう。この場所では、京都の文化を鑑賞するものではなく、自分たちだけの時間として過ごすことができます。
数寄者の美意識を辿り、日常の中で鈍っていた感性を呼び覚ます旅。京の正統と静けさに心を開き、あなただけの京都の物語を紡ぐ滞在をご用意しました。本物の美に触れ、深い静寂へと還るひとときへ。
